社会保険料の会計処理【2】 小林国利 |
2010/11/5(Fri) |
社会保険の種類ごとに社会保険料がどのように徴収されているか調べてみます。 健康保険料の料率は標準報酬月額が1〜47等級まであります。この表で個別被保険者の 保険料額を算出して算定金額を事業主と被保険者負担に折半します。 健康保険料率は9.32%(介護保険法第2号被保険者に該当の場合10.82%)です。 この料率は東京都の例ですが。各県ごとに率が定められています。 @ 事業主が給与から被保険者負担分を控除するとき 事業主が、給与から被保険者負担分を控除する場合、被保険者負担部分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円とします。 A 納入告知書の保険料額は、被保険者個々の保険料額及び事業主負担部分を合算した金額になります。ただし円未満の端数あるときその端数金額を切り捨てた額となります。 告知書は保険料発生月の翌月20日に送付されて来ますので納付額が解ります。 賞与にかかる健康保険料について 賞与にかかる保険料額は、賞与額の1,000円未満端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率(9.32%)又は(10.82%)を乗じた額になります。 標準賞与額とは賞与金額に1,000円未満があれば切り捨てて計算する約束事です。 標準賞与額には年間540万円(毎年4月1日から翌年3月31日)までの累計額です。 平成22年3月分からの料率適用です。 厚生年金保険料 平成22年9月分からの厚生年金保険料額表 標準報酬 1から30等級まであります。(平成23年8月31日まで適用) 一般の被保険者等 16.058% 坑内員、船員の被保険者 16.696% 児童手当拠出金率 0.13% 児童手当拠出金は事業主が全額負担します。 被保険者負担分(厚生年金保険料額表の折半額)に円未満の折半額がある場合 @ 事業主が、給与から被保険者負担分を控除する場合、被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。 納入告知書保険料額について 発生月の翌月20日に送られてきます。 賞与にかかる保険料について 賞与に係る保険料は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率を乗じた額になります。また、標準賞与額には上限が定められており、厚生年金保険と児童手当拠出金は1か月当たり150万円が上限であります。 児童手当拠出金について 厚生年金被保険者を使用する事業主の方は、子供手当等の支給に要する費用の一部として児童拠出金を全額負担していただくことになりました。この児童手当拠出金の額は、被保険者個々の厚生年金の保険の標準月額報酬及び標準賞与額に拠出金率(0.13%)を乗じて得た額の総額となります。
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社会保険料の会計処理【1】 小林国利 |
2010/11/2(Tue) |
社会保険料とは健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料(雇用保険料、労災保険料)であります。今解説したいのは労働保険料を除いたものです。 労働保険料は年間の概算保険料を前払いして、毎年3月末で年間確定保険料を清算す方法ですので毎月納付して毎月精算する一般の社会保険料と区別して考えましょう。
給料(賃金)の会計処理 例 4月に新入社員Aさんが入社しました。給料は300,000円社会保険料本人負担額30,000円、会社負担額30,000円とします。 <4月仕訳> (借方)給 料 300,000円 (貸方)現金預金 300,000円 4月分給料 (借方)法定福利費 30,000円 (貸方)未払費用 30,000円 4月分会社負担分 <5月仕訳> (借方)給 料 300,000円 (貸方)現金預金 270,000円 5月分給料 (借方) ─ ─ ─ ─ ─ ─ (貸方)預 り 金 30,000円 4月分本人負担分 (借方)法定福利費 30,000円 (貸方)未払費用 30,000円 5月分会社負担分 <5月末仕訳> (借方)預 り 金 30,000円 (貸方)現金預金 60,000円 4月分社保支払 (借方)未払費用 30,000円 (貸方) ─ ─ ─ ─ ─ ─
社会保険料課税と徴収事務に関する変遷 社会保険制度が日本に導入されたのが昭和36年と思われますが、当初は資格取得月に資格取得者の賃金から控除していました。 保険料の納付は翌月末となっていましたので会社負担分と個人負担分が同時に計上されていました。4月分の給料から4月分の社会保険料が差し引かれたのです。 以下の仕訳が行われていました。(最初の仕訳例) <4月仕訳> (借方)給 料 300,000円 (貸方)現金預金 270,000円 4月分給料 (借方) ─ ─ ─ ─ ─ ─ (貸方)預 り 金 30,000円 4月分本人負担分 (借方)法定福利費 30,000円 (貸方)未払費用 30,000円 4月分会社負担分 <5月仕訳> (借方)給 料 300,000円 (貸方)現金預金 270,000円 5月分給料 (借方) ─ ─ ─ ─ ─ ─ (貸方)預 り 金 30,000円 5月分本人負担分 (借方)法定福利費 30,000円 (貸方)未払費用 30,000円 5月分会社負担分 <5月末仕訳> (借方)預 り 金 30,000円 (貸方)現金預金 60,000円 4月分社保支払 (借方)未払費用 30,000円 (貸方) ─ ─ ─ ─ ─ ─
後にこの従業員から源泉控除する額が最低でも1カ月最高ですと25日払いの賃金ですと35日間従業員から社会保険料を預っていることになります。 労働基準法第27条に賃金の支払は現金で支払うことと定められており、給料から差し引く額は法律で定められたものしか控除できないと制定されました。 企業が従業員の社会保険料を預かる期間も短縮すべきとなり、給与から差し引く額は前月分を当月分から差し引くことが原則となりました。しかし、従来通りの引去りも間違いではありません。
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社会保険料の会計処理 小林国利 |
2010/10/29(Fri) |
社会保険料と言われるものの中には健康保険料、厚生年金保険料、厚生年金基金があります。 会計処理において法人ごとに混乱がありますが、 社会保険料の認識及び測定の時期、社会保険事務所、健康保険組合に企業が支払う時期 その都度の仕訳を考えてみます。 戦後社会保険制度の国家として制定の時期と労働法の労働者保護条文改正により社会保険源泉控除の時期が変わりました。 現在、一見複雑な会計処理が行われていると考えますが、私達が会計事務に携わるようになった昭和30年後半頃の会計処理に戻れば少しも難しい仕訳でないことが解ります。 11月は3回くらいの分散でこの社会保険料会計処理を解説しますので ご一読願えればこの上なき喜びです。
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退職所得の受給に関する申告書の提出(3) |
2010/10/26(Tue) |
(退職所得申告)
国内において退職所得の支払を受ける人が退職手当等の支払者に提出する手続きです。 この申告を行わない場合は、その退職手当等の20%の税率による源泉徴収を行われる事になります。驚くほどの高額となります。 退職金の支払いをするときは、支払者は必ずこの「退職所得の受給に関する申告書」を受取りこれに基づき退職金の税額を計算して下さい。 退職所得控除額の計算があるので、この申告書が必要です。 調査官の調査方法は簡単です。先ず年度ごとの決算書を見て退職金の科目があれば 支払日 支払金額を出して、これに対応する「退職所得の受給に関する申告書」を見せてくださいと来ます。 退職所得申告書が無いとハイ、20%の税金を支払って下さいと会社を後にするまで言い続けます。 サア こんなことにならない様に気をつけてください。 後は税理士の先生に間に入り交渉して頂きましょう。
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税務調査で最近の特徴(2) |
2010/10/23(Sat) |
「……税務署ですが小林会計事務所で関与なさる……会社の税務調査に伺いたい。」 ついては、何月何日に都合はいかがでしょうか。会社と相談されてご返事下さいと電話が入ります。 本年は調査が7月〜9月に集中して、税務調査の立ち会いは好きですが、はっきりしてきたことがありますので調査がありましたら、注意点をお知らせします。 1 源泉税の調査を念入りに実行します。年末調整に必要書類として「給与所得の扶養控除等申告書」を給与の受取る居住者は会社に提出します。これが無いと年末調整が出来ないからです。 ところが、所得税法194条の第1項にはこの申告書は毎年最初に給与の支払いを受ける前日までに提出する事になっています。法人税の調査も赤字法人が多くて追徴税額が調査をしても出ない時代ですので、「扶養控除等(異動)申告書」が法人に提出があるか一人ずつチェックします。提出が無い場合は月額表の甲欄では徴収できないので、どうぞ乙欄の税額で計算して差額を納付して下さいと言います。企業は最近給与ソフトで給与計算をしますので、この申告書が提出しなくて給料や賞与を支払っていることが多いのです。 税務調査は突然やってきますが、その時慌てない様に思わぬ損害を被らない様に「この書類」は必ず用意して保管して下さい。 次回は退職金の件です。
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