中小企業の経営者や個人で事業を行う個人経営者等、または給与所得者でも配偶者は子育て及び家庭の主婦業が主であったため、居住用の家屋や敷地はご主人の名義がほとんどでありますが、ローン返済も主婦の協力があって支払がなされたのが事実です。 相続の時点になって初めて配偶者に相続分が2分の1与えられますが、それまではご主人から奥様に名義を変えますと贈与税が課税されます。 但し、結婚して20年間期間が過ぎますと、一定の条件の下に贈与登記を行いますと、ご主人から奥様の名義に変更しても贈与税の課税がかかりません。 夫婦が築いた財産は名義こそご主人になっていても実は奥様の協力があってこそ、実現したもので二人の共有財産です。 平成16年から相続時精算課税制度が制定されて、推定相続人である子供は親から生前に2000万円までの贈与を受けることができるようになりましたが、奥様については相続時精算課税制度は適用出来ません。 その意味で贈与税の配偶者控除制度はもっと広く適用できるよう広報活動をする必要が有ります。
この制度実施のメリット @ 奥様として相続の時点で居住用財産の名義が自分の名義になることにより、元気な時に二人で稼いだ証として贈与していただくと、生活に安心感が出て一層ご主人の仕事に協力体制が敷かれる。 A 一人になったときもすでに自分の名義の財産がしかも居住用財産にあると思うと安心です。 B 贈与された財産は相続の時点では加算されないため、相続税の節税につながる。 C 相続時に居住用と事業用に減税適用があるから、急いで名義を変えなくても良いと考えるかも知れないが、相続時には事業用の使用された土地は別に減額できますので、この規定を使い節税でき有利です。
居住用財産の配偶者控除は比較的簡単です。 居住の用に供してる部分と居住の用以外に供されてる部分がある場合には、其の居住の用に供している部分(店舗兼住宅等)のみ配偶者控除の適用を受けます。 計算式を例題によって説明します。
土地価額 30,000,000円 家屋7,000,000円 いずれも相続税の財産評価通達で算定する 家屋 の総床面積 144u もっぱら居住のように供している部分の床面積 80u 併用部分の床面積 24u 店舗のように供している面積 40u
家屋のうち居住のように供している部分は 96u
居住の用に供している部分と店舗等のように 供してる専用部分合計 120u 居住の用に供している部分の家屋の価額
7,000,000円×96/144=4,666,666円
土地の面積 210u もっぱら居住の用に供している部分面積 10u
居住の用に供している部分の土地等の面積 121.1111111
併用部分の面積 200u
30,000,000円×121.11/210=20,522,857円
居住の用に供する土地及び家屋で2,000,000円を越えてしまうため家屋の贈与面積を少なくし課税されない金額を設定します。
以上で計算式で贈与金額が簡単に出る式を作成しましたが実際に贈与を行うときは再度確かめてください。 計算式の結果について当方の責任は持てません。
なお、理論的には贈与の割合は居住用部分と店舗等に供している部分に共通して贈与が発生するのであるが特例として居住用の供する部分から贈与が始まったと計算してよいことになっている。(相法21条の6)
以上の考えは私見ですので、この計算の結果は責任を負いかねます。
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