役員退職金の損金経理要件の廃止=引当金を直接取り崩す経理処理可能に
法人税の旧36条過大な役員退職給与の損金不算入の規定がなくなってしまいました。 これは新会社法において第361条 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(報酬等という)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは株主総会の決議によって定める。
以上は会社法361条の条文の前半部分でありますが、まさに職務執行の対価の中に退職慰労金が含まれていることが解ります。役員退職慰労金は在職中の職務執行の対価であります。報酬の後払いの特徴があるので在職中の報酬と区別していると考えられます。(最高裁昭和44年10月28日判決) 旧法36条の過大役員退職金の損金不算入の規定が削除されたことで、損金経理処理が必要でないことになりました。引当金処理をしてあれば、支払い時に損金算入すればよいから別表四で減算、別表五の(1)で留保減算となります。
役員退職金の会計処理は@ 引当金処理、A 支払年度に損金処理する、B 利益処分処理が考えられますが、損金に算入できないときは、別表四で減算留保及び別表五で減算することになります。
週間税務通信NO2889によれば、上場企業の相当数の企業が役員退職慰労金制度を廃止する動きが目立っているとの事。廃止の理由については、多くの上場企業で「後払いの年功報酬的な意味合いの強い退職慰労金制度を廃止して会社業績や株主価値との連動性を高め、経営責任の明確化・企業競争力の強化につなげることが目的」であるとして、業績連動型報酬を導入する動きが強いとの事です。
法人税法の改正がこの流れを早くも先取り導入し、わざわざ役員退職慰労金の条文をはずしたのかもしれない。 従業員の退職金制度も廃止したり、形態を変更する企業が増加する中役員退職金制度も時代の流れで変わりつつあるのでしょう。
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