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小林国利 消費税講義 第5回 2005/9/2(Fri)
小林国利 消費税講義 第5回

第4回で中小事業者の仕入れに係る消費税の控除の特例制度の導入の経緯と歴史的変遷につき述べましたが、この特例制度は、恐らく今後対象事業者の範囲が狭められますが、この制度がある限り利益になることは取り入れる必要があります。原則課税と簡易課税とで通常あまり大きな差額は生じませんが、同業と比べ業績のよい会社ほど、簡易課税を選択すると支払わなくて済む仮受消費税が発生します。又、その業界の利益率よりも悪い利益率の会社は簡易課税を導入すると原則計算したときの納付税金より多く収めることに成りますので、どちらを選択するのかは、その都度、専門家に見ていただくことが大切です。
さて、一般に簡易課税計算とはどのような仕組みになっているのか、以下に説明しますが、消費税法の条文としましては(法第37条、政令57条と基本通達があります)
 仕入控除税額の計算
(1) 一事業のみを営む場合

仕入控除税額= その課税期間の課税標準額に対する消費税額 ―その課税期間の売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額 ×みなし仕入率 第一種事業 90%
第二種事業 80%
第三種事業 70%
第四種事業 60%
第五種事業 50%
(2) ニ以上の事業を営んでいる場合
原則的な計算
仕入控除税額= ( 課税標準額に対する消費税額 −売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額 )× (A×90%+B×80%+C×70%+D×60%+E×50%)/(A+B+C+D+E)

   注
A:第一種事業に係る消費税額
B::第二種事業に係る消費税額
C::第三種事業に係る消費税額
D:第四種事業に係る消費税額
E:第五種事業に係る消費税額
D:第六種事業に係る消費税額

みなし仕入率の特例
  二以上の事業を営むもの
    ・ 一事業にかかる課税売上が75%以上の場合、一事業に対するみなし仕入れ率を当該一事業以外の事業に対しても適用できる。
         
      課税資産の譲渡等対価の合計額−税抜対価の返還合計額=控除した残額を元に計算

    ・ 二事業にかかる課税売上の合計額が全体の75%以上の場合
        低い方のみなし仕入率をしよう
  一種と二種で75%以上のとき   一種      90%
                  一種以外の事業 80%
  一種と三種で75%以上のとき   一種      90%
                  三種以外の事業 70%
           
  一種と四種で75%以上のとき   一種      90%
                  四種以外の事業 60%   
     以上の原則法及び特例法のうち全て該当する特例を選択計算して、みなし仕入れ率が一番高くなる方法を選択するとよい。選択方法の期間継続の規定はありませんので、毎期有利な方法を選べます。
事業区分の大切さ
仕入れ控除に付き簡易課税方式をとりたいときに、事業区分を私たちが自ら決めなくてはなりませんが、たとえば第一種事業として売上を登録していましたが、よく調べてみたり、又は、消費税計算に精通してきたところ、第二種事業が正しいと判かったとしますと、みなし仕入れ率は90%から正しくは80%になります。売上に係る消費税額から控除できる仕入れ税額は10%分少なくなりますので、税務調査を受ければ修正させられて、消費税額の不足分を納付しなければなりません。なお、事業の区分を正しく分けないと簡易課税の中の特例制度を適用すると事業区分を誤って適用したことにより、消費税を大きく修正納付する事態となります。そこで、事業区分がどのような前提により定められているか、条文を読み私が理解できたことをお伝えしたいと思います。
  消費税講義 第4回において消費税導入当初、事業区分は二種類しかありませんでしたと述べました。
それが五種類、六種類と増加してきたのですが、区分の前提及びそこに流れる考え方が立法当初から理論として統一されていなっかたと思うところがあり、私たち実務担当者にとってやりにくいところであります。いずれは、消えていく規定であるのであまり真剣に検討されずに規定が追加されてきたのでしょう。
 みなし仕入れ率を決める方法が卸売業・小売業に代表する「商品に手をほどこさず譲渡するものと定め、」事業者に売るか、消費者に売るかの違いで仕入れ率90%、80%を定めた。  次の改正で第三種事業としての定義が条文に載らず、その代わりに日本標準産業分類の製造業大分類の番号のいくつからいくつまでを言うと逃げているところに、消費税法で簡易課税の事業区分がわかりにくい原因があると思います。そんなに完璧な定義でなくてよいなのだから製造業の定義を行ってほしかったと思います。第四種及び第五種についても定義はなく、日本標準産業分類の大分類の記号で示すことで逃げてしまうところが問題を複雑にしました。

 私なりにこの規定を細く説明いたしますと以下の通りです。
 第一種事業  (卸売業)
他の者より購入した商品をその性質および形状を変更しないで、他の事業者に販売する事業をいう。(日本標準産業分類に似た大分類があるが準用していない。)
 第二種事業  (小売業)
 他の者より購入した商品をその性質および形状を変更しないで、事業者以外に販売する事業をいう。(日本標準産業分類に似た大分類があるが準用していない。)
 第三種事業 (製造業と呼ぶ)
   農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む。)、電気業、ガス業及び水道業をいい、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。注、日本標準産業分類では加工賃を請求する業も製造業に含めてしまうので、消費税法はこれを除くよう注意を喚起しています。
  (基本通達13−2−4)で 第三種事業は、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基準に判定します。   
   注、本標準産業分類は昭和24年10月に制定されているが、遠くその原型は昭和15年第5回、国政調査の折に日本産業分類を作ろうとの話が持ち上がったがまだこのころの分類は十分でなかった。
基通 13-2-6
      製造小売業は→日本標準産業分類  簡易課税製造業(第三種事業)
      イ 洋服仕立小売業、菓子の製造小売業、パンの製造小売業
      ロ 豆腐、かまぼこ加工
      ハ 家具製造  小売業
      ニ 建具製造  小売業
      ホ 畳製造   小売業
基通13-2-5 製造業等に含まれる範囲
     1.製造問屋
     2.丸枝←請負工事 第三種事業
     3.天然水を壜詰めして人の飲用にする。  第三種事業
     4.新聞、書籍、出版を行なう事業     第三種事業

第三種事業からの副産物 第三種事業
  注  日本標準産業分類はインターネットで検索すると全容がわかります。
    農業から始まる大分類は19あり、中分類は97、小分類は420細分類は1269
    分類符号が分かれています。私たち消費税に関するところは第分類、中分類で充分ではないかと推察します。
第五種事業    (政令57条)
 不動産業、運輸通信業、飲食店業を除くサービス事業
  これはやはり定義が明らかでないが、日本標準産業分類の第分類のうちH 情報通信業、I 運輸業、L 不動産業、M 宿泊業、N 医療・福祉、O 教育、学習支援業、P 複合サービス事業、Q サービス事業(他に分類されないもの)
  上記の中でJ、K,がもれていますがJは卸売業・小売業、Kは金融・保険業
  であり第五種事業には関係ないものです。
第四種事業
 第一種事業から第三種事業まで及び第五種事業に含まれないものが第四種事業に分類されると定義しています。
  具体的には第三種事業から除外された加工賃を対価とする役務の提供は第四種事業とします。
  飲食店業は日本標準産業分類では第五種事業に属するものに分類されていますが、
  第四種事業に入ります。
  金融・保険業、
  固定資産として使用したものを譲渡した対価は第四種事業となります。
  (注)飲食店業については基通に事例が沢山あり、適用するには後半の事例を呼んで下さい。
基通 13-2-2(性質および形状を変更しないことの意義)  令57条
基通 13-2-2   性質及び形状を変更しないという意義
     卸売業、小売業  商標、ネーム
              組立
              組合せ
この程度の加工は性質及び形状を変更したことにならない
事業者以外に売るということは、消費者に販売することで小売業となる。
基通 13-2-3   きざむ、つぶす、ひく、たれにつけこむ、(加熱する行為肉やハンバークは含まない)を加工後の商品を同一店舗で販売すると第二種事業
         食料品小売店、つけものや、惣菜屋、
   第二種事業
第一種、第二種 加工賃その他これに類する料金を役務提供する。対価とする部分は第四種となる。


基通 13-2-8  廃材、加工屑売却収入の事業区分    第三種事業
基通 13-2-4  はじめからサービス業に分類されるものは   第5種事業
 第5種事業
     不動産業 運輸通信およびサービス事業
       飲食店、宿泊業、医療、福祉、教育、学習支援業、
       複合サービス事業、およびサービス事業
※飲食店は第四種事業
   イ 第一種、第二種事業である。   住宅を仕入販売する住宅販売業
   ロ 製造業でも、加工賃、役務の提供  第四種事業
基通 13-2-7                            
農業サービス事業  田植え、稲刈り、草取り
林業サービス事業 
建設業    人的役務提供  これらは製造業に見られがちだが役務の提供なので
 製造業者   加工業は   第四種事業
第一・二種副産物→第四種事業   例ダンボール箱の販売
基通 13-2-8の3  第四種事業に該当する事業
1.第三種事業からのぞかれる加工賃
  2.第五種サービスからのぞかれる飲食店業
  3金融・保険業
   1.信用金庫、信用協同組合、貸金業、質屋等の金融業
   2.証券、証券投資、顧問等、商品先物取引業
   3.生命保険、損害保険業、損害保険代理率損害査定業

13-2-9 固定資産等の売却収入の事業区分=第四種事業
建物、無形固定資産、ゴルフ場利用株式

不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業を除く)=第5種事業
                              
13-2-4 第4種事業 飲食物の提供
         飲食店業に該当するもの
        イ ホテルのレストラン    第四種事業
        ロ 宿泊者の特例料理 室内冷蔵庫の飲料 第四種事業
        ピザ、すし等の宅配等は=製造小売業第三種事業

基通 13-2-8の2
      旅館ホテルの飲食物で、納品書、請求書、領収書が別区分
      食堂としての自己の製造した飲食物を持ち帰り用として、販売する事業は、製造小売業として、第三種事業に該当することを留意する。
      自己の製造した飲食物すなわち宅配の方法  製造小売業として第三種事業


基通 1-4-15
   消費税簡易課税制度選択不適用届出書
 法第37条 第3項
       第4項

 法第37条 第5項
   やむを得ない事情    止んだ日から2か月以内

                                      


第1回 弥生会計セミナー開催 2005/9/1(Thu)
平成17年分消費税申告より課税売上免税点が1000万円まで下がり、個人及び法人事業者の殆どが消費税を申告納付することになりました。税率引き上げも話題となり、経営者は損益に関係なく課税される消費税を先ず理解することが、事業成功への第一歩と確信しております。弥生会計05を自計化し、消費税計算を完全にマスターしましょう。
 私は不思議な巡り合わせで、会計学徒として学んだことを、弥生セミナーで公開し、弥生ソフトを使い、『世界に一つだけの私の花』を皆様と御一緒に咲かせる覚悟です。


 消費税計算の仕方セミナー内容
1、 今回の特別講演
     『税務署なんて怖くない!消費税調査時、チェック項目ベストテン』

2、 弥生会計05実践操作勉強会
•  勘定科目設定 課税、非課税、不課税
•  消費税計算方法、原則法、簡易課税法
•  簡易課税と原則法の有利な方法の選択基準
•  簡易課税選択届け出はいつまでに提出するか
質問時間もあります。

 講師 小林国利  小林公認会計士事務所
 補佐 小林俊道 菅野 小林公認会計士事務所
 日時  :9月27日(火)  13時〜15時30分
 会場  :小林公認会計士事務所、会議室
 定員  :5名(定員になり次第締切り)
 受講料 :お一人様 5,250円(税込、事前振込制)
 締切日 9月26日(月)

<セミナーお申し込み方法>
FAXの場合
 下記の事項を記入の上お申し込みください。FAX:03-3814-5510
  住所  氏名又は会社名  電話番号 FAX番号  参加者名
  お申込み後、受講票(振込口座)、地図をFAXにて送ります。
  当日、上記の受講票をお持ち下さい。
E-MAILの場合
 下記の事項を記入の上お申し込みください。E-MAIL:cpta-kobayasi@tohkatsu.or.jp
  住所  氏名又は会社名  電話番号 FAX番号  参加者名  
  お申込み後、受講票(振込口座)、地図を添付してE-MAILにて送ります。
  当日は、上記の受講票をプリントアウトしてお持ち下さい。

このセミナーに関するお問い合わせ先 
問い合わせ先;小林公認会計士事務所
  担当  小林俊道 菅野
  TEL:03−3814−3800        
  FAX:03−3814−5510
  E-mail : cpta-kobayasi@tohkatsu.or.jp


小林国利 消費税講義 第4回 2005/8/29(Mon)
Q.仕入にかかる簡易課税制度の特例について歴史的変遷を教えてください。

A.中小事業者の仕入に係る消費税の控除の特例
 消費税の創設時に、事業者の納税事務負担の軽減をはかるため定めたが、以後四度の改正があった。 
昭和63年12月
@ 基準期間に課税売上高が5億円以下
 1.みなし仕入率  原則80%
 2.卸売業者      90%

平成3年5月の改正で
@ 基準期間に課税売上高が4億円以下
1 卸売業 90%
2 小売業 80%
3 製造業等 70%
4 その他の事業 60%   に細分化された。

 売上規模が大きい事業者では、本則計算がとりいれられて消費税導入時の事務負担費用がかからないことがわかってきた。コンピュータの発達も貢献した。
平成9年4月1日施行
@ 基準期間における課税売上高が2億円以下に引き下げられた。

平成9年4月1日施行
  現行第四種事業のうち、不動産運輸通信業およびサービスを第五種事業とし、そのみなし仕入率を50%とした。

平成16年4月1日以後に開始する事業年度から、個人事業者は17年分から適用基準期間
における課税売上高が5千万円以下に引き下げられた。
(注)事業者免税点制度が3000万円から1000万円に引き下げられた。

簡易課税制度選択届出書は5000万円越また1000万円以下となっても、一度は簡易課税制度選択届出書の使用ができなくても、課税売上高かこの範囲に戻ってくれば再び適用をうけるので注意してください。

  
  簡易課税制度選択届出書を提出した事業年度より効果のある場合
    @事業を開始した年度
A被相続人の事業を承継した場合
B法人が合併
C吸収分割


簡易課税選択届出書の取り下げについて

いったん簡易課税選択届出書を提出したか
ビル建設計画があり、取り下げることができますか。

昭和34年6月26日最高裁判決参考 公務員の退転願 免職辞令の交付あるまでは撤回可能

当該課税期間の末日までは取り下げができる
         効力と効果


小林国利 法人税講義 第1回 2005/8/25(Thu)
Q. 受取配当金の益金不算入について教えてください。

A. 法人が内国法人から配当等を受けた場合にはその受取配当金は会計上、収益に計上することになります。ところが親会社が子会社から配当を受けたことを税法的に考えますと、子会社で課税所得として法人税を納付した額の残額の一部を配当金として支払い、それを受けた親会社でも又収益に計上してしまうと、ダブル課税となってしまうと考えます。よって、受取配当金の益金不算入は法人税法独特の考えです。親会社と子会社の関係がなく、一般的に株式等を取得したとき、法人税法では益金不算入の処理となります。
 私の考えでは、連結法人以外では、この税法の規定は適用せず、誰もが簡単に出来る方法に変えていくことが良いと思いますがいかがでしょうか。

 平成14年の税制改正で、計算が随分簡略化されてきましたが、次に益金不算入の概要を述べてみます。
 内国法人からの配当金等が対象であり、よって外国法人からの配当金等は対象とならない。

 益金とならない受取配当等の範囲
@ 利益の配当
A 出資に係る剰余金の分配
B 特定信託の収益の分配
C 特定株式投資信託
D 証券投資信託
E みなし配当
(注)商法上は利益の配当とならないものも、配当とみなされるものがあり注意が必要です。

配当等の額の区分
 イ.連結法人株式等
 ロ.関係法人株式等
 ハ.上記イ、ロのいずれにも属さない株式等(その他の株式等)

連結法人株式等は
配当等を受ける法人と、配当等の額を支払う他の法人との間にその配当等の額の計算の基礎になる期間の開始の日から、その期間の末日までに継続して連続完全支配関係があった他の法人。

関係法人株式に係る配当等の額
 25%以上を支払い義務確定前6ヵ月以上引き続き所有している場合

  区分    受取配当額     負債利子控除額    益金不算入

連結法人株式等 受取配当金            0        全額

関係法人株式等 受取配当金  負債利子のうち株式等にかかる部分の額 控除残額
その他の株式等 受取配当金  負債利子のうち株式等にかかる部分の額 控除残額×50%  

注1. 短期所有株式
 元本である株式等が、その配当計算期間末日以前1ヶ月以内に取得され、且つその末日から
2ヶ月以内に譲渡された株式等に係る配当については、益金不算入の対象となる受取配当には該当しない。

注2. 負債利子 
 借入金の利子、手形割引料、社債発行差金、その他経済的な性質が利子に準ずるもの

注3. 短期所有株式等は益金不算入の規定は適用しない。この場合に銘柄ごとに判定しますが、計算式があるのでその式に当てはめて不適用額を計算する。
具体的には受取配当等の益金不算入に関する明細書(別表八)が税務署に用意してあり、これに記入すればよい。


小林国利 消費税講義 第3回 2005/8/17(Wed)
収入と支出と資金の流れを理解して、収入には以下のもがあります。
    <対価性のあるもの>
@ 課税売上(収入)
A 非課税売上(収入)

    <対価性のないもの(収入)>
     ○特定収入にならないもの
B 借入金債務の発行による収入
C 出資金
D 預金、貯金及び預かり金
E 返還金及び還付金
F 国、または地方公共団体の法令または交付要綱等において特定支出のみに使用されるとされる収入
G 国外取引
 ○特定収入というもの(消費税基本通達)で例示されています。
@ 租税公課
A 補助金
B 交付金
C 寄付金
D 出資に係る配当金
E 保険金
F 損害賠償金
G 他会計からの繰入金、会費等、喜捨金
特定収入の定義はとてもわかりにくい定義でありますが、要するに収入の使い道が仕入として、商品、固定資産、諸経費に使われることが明らかなものを、対価性のない収入から拾い出しこの特定収入を課税仕入に関わるものにのみ、課税売上及び非課税売上に共通にかかるもののみに特定して使用されるものとに収入を分けてしまい、課税仕入に係る消費税額から控除して控除後の金額が仕入れ税額控除となります。
 このように資産の譲渡等による売上に対する、仕入税額控除を計算するのが理論的であります。たとえば、損害賠償金が多額に収入となった事業年度には、この収入を当てにして課税仕入に係る支出が極端に増えたとしますと、消費税はこの年度多額の還付金額となります。
 結局は、国、地方公共団体、消費税法別表第三に掲げる法人、人格のない社団等は、特定収入割合が5%を超えるとき、特定収入に対しての課税仕入れに係る消費税額をある計算法式に算入して消費税計算から永久に関係させないという、思い切った計算方式であります。思い切った方式というのは、その年度にもしあまり課税仕入れに係る消費税額が発生しないと、特定収入による消費税が控除できないものは、消費税の税額に控除できなかった消費税を加算して消費税を納めてくださいということです。
 結論としましては、特定収入として入金になったものはすべて全額、またはその一部課税売上等の仕入れに使用される部分は使わなくても使っても消費税分を国に納付することになります。しかし、あくまで、その年度の課税、非課税、課税仕入れにかかる特定収入以外の特定収入の割合で負担するのである。
 コンメンタール消費税法(第一法規)によれば、特定収入の入金がある事業者は特定収入に関して言えば最終消費者であると述べていますが、まさに今までの説明を一言で名言しています。
 税務署が発行した(平成15年4月)小冊子は難関な説明でありますが、46ページにわたる力作であります。一番大切なところは計算表の書き方であり、それの説明が計算表から計算表であります。私たちは、特定収入5%以上、課税売上割合が95%未満、個別対応方式での処理を理解すれば、そのほかの対応はその応用編でわかります。


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