1 企業再生の場合の資産評価損益の計上、私財提供等があった場合の欠損金の損金算入制度(法法25,33,59関係)
民事再生法の再生計画認可の決定等又はこれに準ずる再建計画(適正な資産評定に基づく貸借対照表を基礎として債務免除額が定められていること等一定の要件を満たすものに限る。)の合意があった場合に、債務者である法人について、次の措置が講じられた。
(1) その有する資産の評価損及び評価益の計上を行う。
(2) 上記(1)の適用を受ける場合には、繰越欠損金のうち青色欠損金等以外の欠損金を優先して控除(債務免除額等の額を限度)する。
2 教育訓練費が増加した場合の特別税額控除制度の創設(措置法42の12関係)
教育訓練費が増加した場合の特別税額控除制度が次のとおり創設された。
(1) 青色申告書を提出する法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額が、その法人の直前2年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された教育訓練費の平均額を超える場合には、3年間の時限措置として、その超える部分の金額の100分の25相当額の特別税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の100分の10相当額を限度とする。
(2) 青色申告書を提出する中小企業者等については、上記(1)の制度の適用に代えて、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額に対し次の特別税額控除割合による特別税額控除を選択適用することを認める。ただし、当期の法人税額の100分の10相当額を限度とする。
イ 教育訓練費増加割合(当期の教育訓練費の額からその直前2年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された教育訓練費の平均額を控除した金額のその平均額に対する割合)が100分の40以上・・・100分の20
ロ 教育訓練費増加割合が100分の40未満・・・教育訓練費増加割合に0.5を乗じた割合
(注)上記の改正は、平成17年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
試験研究費の増加については、過去3年分の試験研究費の増差額の一定額を税額控除できる条文があるが、よく似た内容となっています。
教育訓練費とは、
研修委託費
研修参加費
社外講師謝礼金
外部施設利用料
教材費
です。教育訓練費という科目を新たに創設して、集計すると便利です。
3 民法組合、匿名組合等の法人組合員帰属する組合損失の制限(措置法67の12,67の13関係)
民法組合、匿名組合等の法人組合員(組合に係る重要な業務の執行の決定に関与し、契約を締結するための交渉等自らその執行を行う
法人組合員等を除く。)の組合損失について、次の措置が講じられた。
(1) 組合債務の責任の限度が実質的に組合資産の価額とされている場合等には、その法人組合員に帰属すべき組合損失のうち当該法人組合員の出資の価格として計算される金額を超える部分の金額は、損金の額に算入しない。
(2) 組合事業に係る収益を保証する契約が締結されていること等により実質的に組合事業が欠損にならないことが明らかな場合には、その法人組合員に帰属すべき組合損失の全額を損金の額に算入しない。
(注)上記の改正は、原則として平成17年4月1日以後に締結される組合契約について適用する。
4 特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)への支援(措置法66の11の2関係)
認定NPO法人制度の認定要件等が次のように見直された。
(1) 総収入金額のうちに寄付金総額の占める割合が5分の1以上であることT(いわゆるパブリック・サポートテスト)について、直前2事業年度の平均により算定する。ただし、各事業年度の割合が10分の1以上である場合に限る。
(2) 共益的な活動の制限に係る要件(事業活動のうちに共益的な活動の占める割合が100分の50未満であること)について、次のとおり改める。
イ 会員等の範囲から、NPO法人から資産の譲渡、役務の提供等を受けるのみの者(単なる顧客)を除外する。
ロ NPO法人等の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動を行うことを主たる目的とするNPO法人(いわゆるネットワーク型NPO法人)の会員等に対する助成事業のうち、特定公益増進法人又は認定NPO法人が参加する事業を共益的活動の範囲から除外する。
ハ その割合を直前2事業年度の平均により算定する。
(3) 運営組織、経理及び事業活動に関する要件について、次のとおり改める。
イ 役員及び社員の親族に係る要件について、親族の範囲を配偶者及び三親等以内の親族に限定する。
ロ 事業費総額のうちに特定非営利活動事業費の占める割合要件(100分の80以上)について、直前2事業年度の平均により算定する。
ハ 受入寄付金総額の100分の70以上を特定非営利活動に充当する要件について、直前2事業年度の平均により算定する。
ニ 認定NPO法人の申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類について、一定の簡素化を図る。
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