冷却能力の信頼向上へ、 計算ソフト使い学習検討会−日冷工

 日本冷却器工業会(会長=鈴木良造氏・タイセイ会長)は、このほど同工業会が特許を保有する「ユニットクーラーの冷凍能力試験法」についてコンピューター“計算ソフト”を使った学習検討会を開催した。

 東京・港区港南の東京海洋大学(旧東京水産大学)品川キャンパス内の楽水会館で開催した同学習検討会は、日曜日と参院議員選挙投票日が重なった七月十一日午後一時〜五時までだったが、遠く大阪や新潟、茨城などから会員会社の技術者など十九人が参加して関心の高さを見せた。

 ユニットクーラー冷凍能力試験法は、性能・能力を、学術的裏付けによりさらに信頼性を高めることを目的にしたもので、三堀友雄・東京水産大学名誉教授が中心となって渡辺学・同大学助手とともに発明したもの。これに日本冷却器工業会が実証のための機材・資材を提供(その後東京海洋大学に設備寄付)して共同研究を進めている。

 試験法の測定原理は、温度を一定に保った検査室を設けて、断熱したダクトによって区画した領域に電気ヒーターとユニットクーラーを設置する。その上でダクト内に空気を流入させ、はじめにヒーターで加熱し、続いてクーラーで冷却する。この時にダクト内への流入温度と流出温度が同じであれば、ヒーターが空気流量に与えた熱量とクーラーが奪った熱量は同じと考える。これによるヒーターの消費電力からクーラーの冷凍能力が推定できるというもの。
 また、同試験方法は、現行の試験方法に比べて長時間にわたる測定を強いることなく、短時間でユニットクーラーの冷凍能力を測定できるなどのメリットがある。本質的にはダクトにだけ断熱を施せばよく、熱漏洩の可能性を格段に減少することから、熱漏洩に起因する誤差を大幅に抑制して測定精度の向上が見込めると三堀教授らは見ている。

 今回の計算ソフト学習検討会は、基本的な考え方と使用法を学習するとともに、実用面での補完すべき点などを検討しようと開催したもので、参加者はそれぞれにノートパソコンや現在使用中の自社カタログ資料などを持ち込んで実用面での検討を加えた。

 日本冷却器工業会は、今後、同試験法を確立してユニットクーラー冷凍能力の信頼性向上に努めることにしている。



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